敏感肌 (お肌の炎症)と繊維について
敏感肌(お肌の炎症)と繊維について
繊維製品によるお肌のトラブルのほとんどは湿疹・皮膚炎
一般的に、繊維製品によるお肌のトラブルには刺激性皮膚炎とアレルギー皮膚炎の2種類があります。
さらに、刺激性皮膚炎は物理刺激と化学刺激に分けられます。
物理刺激は、衣類の縫い目や金属サイズ違いによる摩擦や、ウールなど繊維表面の凹凸があるものを着た場合。
また、通気性の悪い衣類を着た場合の蒸れアトピー性皮膚炎や乾燥肌ではこれらによるかゆみや湿疹を引き起こすことがあります。
特にウール製品はアトピー性皮膚炎の悪化を引き起こすことはよく知られていますし、ナイロン製品は非常に吸汗性が悪いので、あせもを発しやすい素材となります。
繊維の質による刺激 物理刺激
一般的に繊維が太いほどに曲げにくく伸びにくい。繊維としての強度は強いのですが、肌触りは硬くなる傾向があります。
また、繊維を糸に撚(よ)った場合、その撚りが多いほど肌への刺激が強く、繊維の断面が△形状のものは断面が丸い繊維よりも曲げにくく、伸びにくいので刺激が強くなります。また毛羽立ち安いのも特徴です。ウールなどは繊維が太く毛羽立ちやすいのでチクチクと刺激が強い傾向にあります。
ポリエステル | 1~10㎛ (太さ) | 0.4 (公定水分率) |
絹 | 1~50㎛ | 12 |
綿 | 12~20㎛ | 8.5 |
麻 | 8~50㎛ | 12 |
ウール | 18~50㎛ | 15 |
カシミヤ |
12~20㎛ |
15 |
モヘア― | 30~50㎛ | 15 |
キャメル | 15~20㎛ | 15 |
ナイロン | 1~10㎛ | 4.5 |
アクリル | 1~10㎛ | 2 |
化学刺激
化学刺激はドライクリーニングの溶剤や柔軟剤の残留物によって引き起こされるのがほとんどです。
また、着用時の汗や摩擦などによって「製品内の化学物質が繊維から抜け出やすいかどうか」も影響します。
アレルギー発症の流れ
それでは、アレルギー発症の流れを出来る限りコンパクトに、わかりやすく説明してみようと思います。
1.アレルゲン物質が皮膚のタンパク質と結合し抗原になり、細胞に取り込まれます。
2.細胞は、リンパ節に流れてTリンパ球にアレルギーの情報をバトンタッチします。
3.Tリンパ球は、この情報を基にアレルゲンに反応できるTリンパ球を増やします。(感作リンパ球)
4.増えたTリンパ球はリンパ管や血管に流れて全身に循環します。
5.そしてアレルゲンが侵入したときに拒否反応として炎症が起こります。
繊維自体で直接、接触アレルギーを起こすことは稀で羊毛(ウール)による皮膚炎はアレルギーではなく物理的な刺激と考えられています。
絹(シルク)による皮膚炎も存在していますが非常に稀です。
染色染料によるアレルギー
衣料品に使われる染料による接触アレルギーは非常に多いと言われていますが、世界各地で使用される染料が数千種類もあること、実際に染色するときにはそれらを混合して使用されること、また染料に使用される化学物質のすべての特定が困難な事や染料に含まれる不純物によってアレルギーを引きおこす可能性もあるので、アレルギーの分類や原因の特定が非常に困難であることが現状です。
また、ポリエステルなど化学繊維を染める際に使用される分散染料によるアレルギーが特に多いそうです。
分散染料は水に分散した状態で染色され、染色堅牢度(色を繊維に留めておく力)が高くないので、特にストッキングや下着など皮膚との接触が多い部分で摩擦によって繊維がこすれ落ち、皮膚から体内に取り込まれるケースが多いと言われています。
その他炎症の誘発する薬剤等
防縮しわ加工剤
尿素・ホルムアルデヒド樹脂の分解による、遊離ホルムアルデヒドによる皮膚炎。
現在は乳幼児用品では未検出、成人では75ppmの法規制があります。
蛍光漂白剤
生地をより白く見せるために使用される。チノパールによる皮膚炎を引き起こします。
柔軟加工剤
繊維生地をなめらかにし、静電気防止のために使用される。
接触アレルギーはほとんどありませんが、すすぎ不足や過剰な添加で皮膚刺激が起こる場合があります。
抗菌防カビ剤
接触アレルギーは多くありませんが、薬剤によっては皮膚炎の可能性があります。
また消臭加工靴下の皮膚炎の事例もあります。
ゴム
加硫促進剤・老化防止剤や、ゴム素材の接触アレルギーがあります。
紫外線吸収材
アンダーウエアなどに含まれるスパンデックスのベンゾトリアゾールによる接触アレルギー性皮膚炎があります。
接着剤・樹脂
製品ラベルや接着剤のエポキシ樹脂による接触アレルギー性皮膚炎があります。
まとめ
繊維製品によるお肌のトラブルには刺激性皮膚炎とアレルギー皮膚炎の2種類があり、刺激性皮膚炎には物理刺激と化学刺激に分けられる。
物理刺激は硬くて毛羽立ちやすい繊維ほど刺激になりやすく、化学刺激は洗濯時やクリーニングの残留溶剤によるものが多い。
化学繊維の分散染料によるアレルギーは、皮膚摩擦や汗によって繊維から抜けた繊維組織が体内に取り込まれアレルギーを引き起こす。
洗濯時の過剰な薬品添加やすすぎ不足によって引き起こされる皮膚炎のケースも多い。
いかがでしたでしょうか、肌が敏感な人にとって普段の生活に使用する衣類の素材を考えることはとても重要です。皮膚炎が発症する理由も様々で、繊維の特性によるもの、薬品によるものなどいくつかの分類を挙げました。
ついつい洗濯の時にたくさんの洗剤を投入してしまう人も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、敏感肌や皮膚の炎症を引き起こしやすい繊維とその理由についてまとめました。
お肌との相性を考えた素材選びの参考になれば幸いです。
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