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猫の病気 2人旅

結論から話すと、猫のカツオは私を置いて亡くなってしまいました。

夜通し看ていてくれた先生に、彼の心臓は維持装置で動いているけど、彼の魂はもうここにはいないんです。

と言われたとき、私の魂もこの世から消えてなくなった気がしました。

彼の身体に繋がれた維持装置を切る決断をするとき、自分自身の心もなんだか死んでしまったような気がしました。

 

 

それでも彼の維持装置を止めた当日、外見には翌日も何事もなかったかのように仕事をしていましたが、

彼の命よりも世間体を維持する事の方が重要だったとでもいうのか。自分自身が例に漏れずよくいる日本人だという事に失望を覚えました。

 

なぜ彼が死んで私は生きているのか。彼の遺体を私の服に包んで助手席に乗せて帰る時も、

目覚める事の無い彼を優しく撫でながら色んな感情が涙になって流れました。

 

彼の火葬は近所の和尚さんにお願いしました。1人っきりの彼のためのお葬式。

身近な人は何人か無くしてきたけど、これほど辛かったことは無い。

彼がまだ一人でトイレをこなせない頃から一緒に暮らしてきて、毎日遊び疲れた彼の寝顔を見て元気をもらってきました。

 

きっと彼の生きた猫生の中で私だけが唯一の存在であり、唯一の家族。

そんな彼の事を死なせておいて自分はいったい何のために生きているのかと絶望に打ちひしがれました。

彼が炉の中に入って行くとき、人生でこれほど泣いたことはありません。

 

 

多くの人が出来ることはやった、カツオもきっと感謝していると言ってくれるのだけれど、

そういう風には思えず。これが本当の後悔だと感じました。

 

珍しいものを見た時に見せるあの丸い目。外の空気を嗅いだ時に匂いを嗅ぐあの仕草。

小さいころにはよく2人でドライブして、移り行く景色に尻尾を振っていた彼の姿を思い出し、2人で旅に出ることにしました。

 

もう数日家を開けてもごはんやトイレの心配をすることはありません。

手のひらサイズになった彼を連れて、早朝から家を飛び出しました。

 

カツオがきっと目を丸くするような景色を見つけては休んで、傍らにずっと彼の面影を感じながら数日間、阿蘇の山を走り

別府の港で朝を迎え、また走って、夜は月を見ながら眠りについて。

 

この景色、この匂い、きっとこんな表情をしているだろうと想像しながら。

 

旅行から戻って、彼のいなくなった日常が始まることが怖くて、一瞬でも家にいる事が本当に辛い。

この瞬間、このタイミングでここに来るはずの影が現れることは無く、

寂しさと後悔、自分への怒りと悲しみに繰り返し繰り返し襲われます。

 

楽しかった日々を思い出すたびに涙が流れて、病気で辛い思いをした彼の事を思えば、

私の苦しみなど大したことは無いと自分に言い聞かせながら、あれからの日々を過ごしていますが、

いつか、自分自身で納得できる日が来るのか。

 

いつかこんな日が来ることはわかっていたけど、せめてあと10年、一緒に暮らせると思っていた。

今はまだ、彼に対してありがとうなどと言えそうにありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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